ケンタと学ぶ 相馬眼の新理論

1-16.斤量への耐性と上へのパワー

斤量が増えても苦にせず走る馬もいれば、斤量負けする馬もいます。そうした斤量への耐性は上へのパワーが関係してきます。詳しく見ていきましょう。

前へのパワーと上へのパワー

推進力を説明するときに馬全体のパワーの話をしましたが、その馬全体のパワーには前へのパワー上へのパワーの2つのパワーが含まれています。

前へのパワーは速く走るほど増える地面との摩擦や空気抵抗に対抗するパワーで、上へのパワーは馬体・騎手・鞍などの重力に対抗するパワーです。

斤量への耐性は前へのパワーと比べたときの上へのパワーの強さで決まり、上へのパワーが強いほど重い斤量に耐性があるということになります。

ずいぶん前にやったが、馬全体のパワー×環境(馬場、斤量、コース、展開など)=推進力 だったな。

環境の中に斤量があるね。斤量の重さで推進力が変化するってことだよね。

その変化のし方は前へのパワーと上へのパワーの比で変わってくる。上へのパワーが強ければ重い斤量でも推進力は落ちにくくなる。

上へのパワーをつくる筋肉

前へのパワーをつくる筋肉は同時に上へのパワーもつくりますが、それだけでは前へのパワーと上へのパワーの比はどの馬も同じになってしまいます。
実は専門的に上へのパワーをつくる筋肉があり、その強さによって前へのパワーと上へのパワーの比が決まるのです。

ヒソヒソ… いちいち前へのパワーとか上へのパワーとか書かれるのダルいね。前パとか上パとかの方がいいんじゃない?

直接言えよ。

専門的に上へのパワーをつくる筋肉は前躯と後躯それぞれにあり、後躯では膝関節の角度をスタンス期に保持する筋肉が、前躯では肩関節の角度をスタンス期に保持する筋肉がそれに該当します。

スタンス期では膝関節、肩関節は伸びた状態から肢に力が加わって曲がり、最後にはまた伸びる。保持というのはこの角度の変化を少なくしようとすることだ。

上へのパワーの見分け方

上パをつくる筋肉の強さを見分ける方法はないの?

膝関節・肩関節が保持されてるな~って感覚で見分ける方法がある。
あと前パと上パの比も馬をよく見ればなんとなくわかってくる。あっこの馬は前パより上パだわ~とか、この馬は上パより前パだわ~とか。

今は見分けられなくてもいいんだよね。

そうだな、すぐに見分けるのは不可能に近いと思う。ある程度修業が必要になってくる。

なぜ膝関節と肩関節?

ところで、なんで膝関節と肩関節なの?

それは関節を真っすぐ伸ばしたときに、肢が前に行くか、後ろに行くかを考えるとわかります。

例えば腰仙関節が伸びると、肢は後ろに行きます。

股関節も伸びると後ろに行きます。

では膝関節はとなると、今度は前に行ってしまいます。

飛節、球節は後ろです。後肢全体で言うと、膝関節だけ仲間外れで前に行きます。前に行く関節を伸ばすということが上へのパワーにつながると考えています。

ふーん、なんとなく納得できるような。

前肢の場合は肩関節が仲間外れで前に行くな。

仲間外れ扱いなんだ。

おおきなかぶを一人だけ前に押し込んでるヤツみたいなもんだ。仲間外れにされるのも当然だな。

(なんか違う気がするけど。)

上へのパワーが強いほどいい?

上へのパワーが強いということは、専門的に上へのパワーをつくる筋肉の量が多く、その分重くなることを意味します。そしてその筋肉の重さは前へのパワーを減少させてしまいます。

パワーパワー言っているが、正確には重さに対するパワーだ。前パにとっては意味のない無駄な筋肉の重さが増えることで、前パは減少してしまう。

斤量が軽いときは上へのパワーが強いということが不利になってしまうのです。上へのパワーは強ければいいということではなく、その斤量に適した上へのパワーの強さがあります。

ただし、斤量が増えても軽い斤量のときの推進力を維持できるかという観点では、上へのパワーが強いほどいいということになります。

ええと、もともとの馬の強さがわかってて斤量が増えても大丈夫かってことなら、上パが強い方がいいってことだよね。

逆も言える。斤量が減ったときに推進力がどれだけ増えるかという観点では、上パが少ない方がいいということになる。

えーと。あ、なるほどそうか。上パが強いほどいいわけじゃないんだね。

馬体重と斤量について

馬体重は関係ないの?

馬体重と斤量の関係はあーだこーだ言われてるが、これは調べてみないとわからないな。そんな研究ありそうだがな。

まあこれは俺が思うことだが、斤量が増えると言っても、56キロ→58キロみたいなもんだろ、小さい馬にとってはそもそもの50数キロが既にキツい気がするんだ。
もしかしたら小さい馬は上パが強くないと活躍しづらいとか、大きい馬ほど上パがあんまり重要じゃなくなるとか、そっちの方があるのかもしれない。

ふーん。

ただあると言っても恐らく微差だ。そして微差なものは統計をとってどうこうの判断が非常に難しい。

統計をとってもわからないかもしれないんだ。

とにかく統計よりも理論やちゃんとした実験を元に考える必要がある分野だと思う。

ふーん。よくわからないけどそうなんだ。