ケンタと学ぶ 相馬眼の新理論

1-6.スタンス期中の負重時期

スタンス期中の負重時期とは

地面に加える力は、スタンス期の中でもどこで大きくなるかが馬によって違ってきます。スタンス期の早い時期により負重する馬もいれば、遅い時期により負重する馬もいるのです。

負重ってなに?

体重がかかること、力が加わることを負重(ふじゅう)すると言う。
スタンス期中の負重時期とは、スタンス期の中で肢と地面により力が加わるタイミングという意味だが、こいつが勝手に言ってるだけで全く一般的な言葉ではない。変に難しい言葉が好き、というよりいちいち書くのが面倒くさいんだろ。

このスタンス期中の負重時期の違いは、適性の違いに表れます。ダート適性の違いや加速力・持続力の違いなどに関わってくるので、その準備段階だと思って読んでみてください。

適性を考えなかったらスタンス期全体で見てどれだけ体重をかけられるかだけが重要なんだが、適性を考える場合にはこういった細かいところも見ていく必要がある。

なんか一気にマニアックになったよね。(今までも十分マニアックだったけど。)

スタンス期中の負重時期を決める要素は大きく分けて2つあります。1つが振り出すパワーと引き戻すパワーの比で、もう1つが骨格の形です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

振り出すパワー、引き戻すパワー

前躯も後躯も主要な筋肉は大きく2つに分けられます。それが振り出す筋肉引き戻す筋肉です。

振り出す筋肉は、肢を振り出す動きをつくるために働き、引き戻す筋肉は肢を引き戻す動きをつくるために働きます。

後肢は振り出しのときに股関節を曲げ、引き戻しのときに股関節を伸ばしますが、股関節を曲げる動きをつくるのが振り出す筋肉(の一部)で、股関節を伸ばす動きをつくるのが引き戻す筋肉(の一部)です。

(の一部)が気になる。

一口に振り出す筋肉と言っても筋肉ごとに役割がある。腰仙関節を曲げる役割だったり、股関節を曲げる役割だったり、膝関節・飛節を曲げる役割だったり。上で例に出した股関節を曲げる動きもあくまで一部の振り出す筋肉によってつくられるってことだ。

ふーん。

振り出す筋肉と引き戻す筋肉は、馬によってどちらがどれだけ多いかが違ってきます。これは振り出すパワーと引き戻すパワーも馬によってどちらがどれだけ強いかが違ってくることを意味します。

筋肉量が多い方がパワーも強くなる。振り出しの筋肉より引き戻しの筋肉が多ければ、振り出しのパワーより引き戻しのパワーが強くなる。

振り出すパワー、引き戻すパワーとスタンス期中の負重時期

振り出すパワーと引き戻すパワーですが、肢の動きの中で影響する時間帯が違います。

振り出すパワーは振り出し期後半~引き戻し期前半の力強さに、引き戻すパワーは引き戻し期後半~振り出し期前半の力強さに影響します。

振り出すパワーが振り出し期で、引き戻すパワーが引き戻し期、じゃないんだ。

まあ普通はそう思うわな。だがバットを振ったときを考えるといいかもしれない。バットを振ったとき、バットが前まで来たらそこで止まるわけじゃないだろ。フォロースルーというのが必ずある。強く振ればフォロースルーも強くなる。
これは振り出しのパワーが引き戻しにも、引き戻しのパワーが振り出しにも影響するのと似ている。

なるほど。バット振ったことないけど。

スタンス期に絞って見ると、スタンス期前半の力強さは振り出すパワーが、スタンス期後半の力強さは引き戻すパワーが影響することになります。

つまり、振り出しの筋肉が多く振り出しのパワーが強いほどスタンス期の早い時期に負重するようになり、引き戻しの筋肉が多く引き戻しのパワーが強いほどスタンス期の遅い時期に負重するようになるということです。

引き戻しの筋肉量と振り出しの筋肉量の比(どっちが多いか+どれだけ多いか)が重要になるってことだ。

骨格の形とスタンス期中の負重時期

関節の角度や骨の長さなどの骨格の形もスタンス期中の負重時期に影響します。が、詳しいことは3.馬体編 でやります。

…えっ、終わり?

まあここで終わるのも何だから、1つ例を出しておくぞ。直飛節と曲飛節というのは聞いたことがあるか? 膝関節の角度のことを言うんだが。図を見てもらえばわかるが、直飛節は真っすぐ伸びていて、曲飛節は曲がっている。

ふーん。

この直飛節・曲飛節だが、どっちかがスタンス期の早い時期に負重するようになり、どっちかがスタンス期の遅い時期に負重するようになる。どっちがどっちかわかるか?

ふーん。

って聞いてねえな。

ごめん。えーと、直飛節が早い時期に負重するようになる。真っすぐ伸びてて衝撃を吸収しなさそうだから。

なんで正解できるんだよ。その通りで直飛節は衝撃を吸収しづらい。その分スタンス期の早い時期に力がかかるようになる。
反対に曲飛節は衝撃を吸収しやすい。そして吸収した分を力としてスタンス期の遅い時期に発揮するようになる。

だから直飛節はスタンス期の早い時期に負重するようになって、曲飛節はスタンス期の遅い時期に負重するようになる。

こういった要素がいくつも組み合わさって、スタンス期中の負重時期が決まってくる。直飛節・曲飛節という要素をひとつ紹介したが、要素は後肢だけで10個弱ある。それらが複雑に組み合わさるわけだ。
実は中々に大変なことなわけで、だから詳しい説明をごっそり飛ばした節がある。

結構大変なんだね。

スタンス期中の負重時期の見分け方

馬を見続けるとスタンス期中の負重時期は何となくわかってきます。参考になるかはわかりませんが、早い時期に負重する馬はドタドタ走るイメージで、遅い時期に負重する馬はグイングイン走るイメージです。

うーん。(参考になんねえよ。)