ケンタと学ぶ 相馬眼の新理論

ディープインパクトは薬物を常用していたのか。ドーピング判定マニアが走りと体つきから考察してみた。

2006年凱旋門賞。ディープインパクトは体内から禁止薬物が検出されたため失格になりました。

そこから、「ディープインパクトは薬物を常用していたのではないか」との疑惑が持ち上がり、今も真相は謎のまま・・・ということになっています。

今回は、自称ドーピングの専門家?であり、走りと体つきからその馬がドーピングをしていたかどうかがわかる能力を持っている私が、ディープインパクトの薬物問題について一つの答えを出したいと思います。

走りと体つきの両方から判別できる

さきほども言いましたが、私は走りと体つきから、その馬がドーピングをしているかどうかがわかります。

今回の本題ではありませんが、どのように判断しているかは以下の記事にまとめています。

・走りから見分ける方法
疲労しにくくなる効果のあるドーピング(筋肉増強剤の使用、気管支拡張剤の使用、血液ドーピングなど)をしているかどうかがわかります。
走っているときのスタンス期の割合や、地面から加わる力が解析できるモデルの提案。ドーピング検知への応用も。

・体つきから見分ける方法
筋肉増強剤を使用しているかどうかがわかります。筋肉増強剤の主な効果は疲労しにくくなる効果です。特殊な場合を除いて「筋肉増強剤を使用した⇒疲労しにくくなる効果のあるドーピングをした」と考えていいでしょう。
筋肉増強剤を使用した人や馬は、筋肉を見ただけでわかります。その筋肉の特徴について解説します。

ディープインパクトの走りを分析してみた

新馬戦からラストランの有馬記念までの走りを分析しました。

結論から言うと、若駒ステークス以降のすべてのレースは、疲労しにくくなる効果のあるドーピングをした馬の特徴に当てはまる走りをしていました。新馬戦ではその特徴に当てはまる走りはしていませんでした。

興味のある人は続きを読んでみてください。

疲労しにくくなる効果のあるドーピングをした馬は、スパート中のスタンス期中の負重時期(早期負重度)があまり変化しません。スタンス期中の負重時期(早期負重度)とは、着地に近い時間帯と離地に近い時間帯、どちらがどれだけ地面に体重をかけているか、ということです。自分だけしか使っていない用語ですが。

スパート中は段々とスタンス期の早い時期により負重するようになるのですが、疲労しにくくなる系のドーピングをしているとこの変化が極端に小さくなります。ここで言うスパートとは、全力近くを出しているときのことです。

・若駒ステークスでの走り

若駒ステークスでのディープインパクトの走りを見てみましょう。ディープインパクトは4コーナー途中からスパートを開始し、そこからゴール前100mあたりまでスパートをしています。コーナーを曲がっているときのスタンス期中の負重時期は特殊な処理が必要なので、直線に入ってからの走りを見ると良いでしょう。

比較対象は2着のケイアイヘネシーがわかりやすいです。ケイアイヘネシーは直線に入ったすぐあとからゴールまでスパートをしています。

そして、ディープインパクトはケイアイヘネシーと比較すると、スパート中のスタンス期中の負重時期(早期負重度)があまり変わらないことがわかります。(私には、ですが。見慣れていないと難しいかもしれません。)

・ハーツクライに負けた有馬記念での走り

ディープインパクトのスタンス期中の負重時期(早期負重度)があまり変化しない特徴は、2005年の有馬記念が一番わかりやすいと思います。

最後の直線に入ってからのハーツクライとディープインパクトそれぞれのスタンス期中の負重時期(早期負重度)を比べてみると、ディープインパクトの方が変化していないことがわかります。

直線に入ってすぐの時点だと、ハーツクライの方がディープインパクトよりもスタンス期のより遅い時期に負重していますが、ゴール前では、ディープインパクトの方がハーツクライよりもスタンス期のより遅い時期に負重するようになっています。

・ディープインパクトの脚の使い方

また、疲労しにくくなる効果のあるドーピングをした馬の走りの特徴として、「同じくらい強い馬と比較して、スパート中に速い脚は使えずトップスピードは遅いものの、ジワジワと伸びて最後までバテない」というものがあります。若駒ステークス以降のディープインパクトの走りはすべて、この特徴にも当てはまります。

ディープインパクトのレースを見てわかる人にはわかると思いますが、スパートを開始したときにディープインパクトくらい強い馬と比較して、すぐに追い抜いたり突き放したりできていません。他の馬が疲労してスピードが落ちる最終盤に、ディープインパクトだけが疲労せず減速を抑えられるので、ものすごい追い抜きや突き放しができるのです。

オルフェーヴルでもドゥラメンテでもアーモンドアイでもイクイノックスでも、強い馬の強いときは、スパートを開始したあとすぐに速い脚を使って追い抜いたり突き放したりしています。そして最後は疲労して減速するのです。それが普通なのです。

ディープインパクトの菊花賞とオルフェーヴルの菊花賞を比べると、今言った脚の使い方の違いがわかりやすいと思います。

・ディープインパクトの菊花賞

・オルフェーヴルの菊花賞

ディープインパクトの体つきを分析してみた

新馬戦からラストランの有馬記念までの体つきを分析しました。

若駒ステークス以降のすべてのレースは、筋肉増強剤を使用した馬の特徴に当てはまる体つきをしていました。新馬戦ではその特徴に当てはまる体つきはしていませんでした。

筋肉増強剤した馬の筋肉には下の特徴があり、若駒ステークス以降のディープインパクトの筋肉もこれに当てはまっています。(見慣れてないと、見分けるのは難しいと思います。)

静止状態のとき、筋線維に対して垂直な面で筋肉を切ったときの断面の形が、
・接線が水平に近くなる上部分の曲率が小さくなる。
・接線が鉛直に近くなる側面部分の曲率が大きくなる。
・接線が鉛直に近くなる側面部分の上部は、接線が鉛直に近くなる側面部分の下部に比べて、曲率の増加量が大きい。
・全体が水平方向に長くなる。

動いているときは、断面に対して重力が働く方向が変化すること、筋肉に働く慣性力などの力も断面を変形させることも考慮する必要がある。

偶然はあり得ない

決定的なのが、新馬戦では何ともなかったのが、若駒ステークスから走りも体つきも同じタイミングでドーピングをした馬の特徴に当てはまるようになったことです。

さらに、凱旋門賞ではフランスで禁止薬物になっているイプラトロピウムが検出されています。

これで偶然はあり得ません。あくまで個人の感想ですが、若駒ステークス以降は99%常習的にドーピングをしていたと思います。

筋肉増強剤は検出されていませんが、体つきを見るに筋肉増強剤もおそらく使用していたのではないかと思っています。

どこまで知っていたか、誰が指示したか、他の馬はどうなのか

まず、私は池江泰郎厩舎の馬を疑いました。そこで、ディープインパクトが出走した2005/1/22 若駒ステークス~2006/12/24 有馬記念の期間に現役が被る池江泰郎厩舎の活躍馬を調査しました。下の3頭をそれぞれ記したレースで確認しましたが、ドーピングをした馬の特徴に当てはまる馬はいませんでした。

2005/1/22 若駒ステークス2着 ケイアイヘネシー(馬主:亀田守弘)
2005/8/14 クイーンステークス1着 レクレドール(馬主:サンデーレーシング)
2006/4/2 ダービー卿チャレンジ1着 グレイトジャーニー(馬主:ノースヒルズマネジメント)

次に、私は金子真人オーナーの活躍馬を調査しました。下の3頭をそれぞれ記したレースで確認しましたが、ドーピングをした馬の特徴に当てはまる馬はいませんでした。

2005/9/25 オールカマー1着 ホオキパウェーブ(二ノ宮敬厩舎)
2005/11/26 ジャパンカップダート1着 カネヒキリ(角居勝彦厩舎)
2005/11/26 ジャパンカップダート8着 ユートピア(橋口弘次厩舎)

この時点で、私はディープインパクトだけがドーピングをしていたと思いました。ただ念のため、池江泰郎厩舎かつ金子真人オーナー(かつノーザンファーム生産)の活躍馬、サイレントディールを調査しました。下に記したレースで確認しましたが、走りも体つきもドーピングをした馬の特徴に当てはまりました。

2006/6/10 ブリリアントステークス1着 サイレントディール

これ以上調査するのは時間がかかりそうなので、一旦ここまでにしたいと思います。今後時間ができたら追記するかもしれませんが、いつになるかはわかりません。

気になる方はドーピングをした馬の見分け方をマスターして、自分で調査を進めても良いかもしれません。今のところ、他に研究したいことがあってしばらく放置されることは間違いないので、自分で調べる方が早そうです。

結果は変わらないが、負けた馬たちの名誉のために

ドーピングなしのディープインパクトの強さは(新馬戦以外は)わかりませんが、ディープインパクトの2着に敗れてきた馬は、ディープインパクトがドーピングをしていなければ勝っていた可能性があります。それと、あり得ないですが各レースでディープインパクトが失格になれば、その2着馬が1着になります。

G1の2着と1着とでは、賞金の面でも名誉の面でも種牡馬価値の面でも大きな違いがあります。もちろん2着以下だってG1以外のレースだって違いはあります。

今さら結果が覆ることはありませんし、お金が戻ってくることもありません。ですが、せめてクリーンに戦って負けた馬の名誉のために、少しでも多くの人に事実が伝わることを願っています。

課題は定量的に分析していないこと

(本当は走りも体つきも定量的に分析しないといけませんが、それは私のような理論側の人間がやることじゃない思っているので、あとものすごく大変そうなので、やりません。偉そうなことを言ってすみません。やりたい人はぜひやってみてください。そんな大変そうなこと、私は絶対にやりませんが。)

主催者、メディア、ファンに対して

ここからは調査してみての個人の感想。アンチドーピングを支持する者のひとりとして。

おかしい。やっぱりおかしい。一度は確実に禁止薬物を使用した馬を崇めるのは。JRAもメディアもファンもおかしい。「ディープインパクトは潔白。凱旋門賞のドーピングは故意ではない。怪しむ奴は秩序を乱す異常者。怪しむ声は徹底排除。」こんな意見おかしい。それを主催者やメディアが先導してるのもおかしい。これだけ疑惑のある馬、なんで表出てるやつが全員同じ意見なんだ。あと、せめて隠せ。積極的にディープの映像や名前は出すな。特に凱旋門賞のときは。少なくとも一度は確実に禁止薬物を使用した馬だぞ。

まあでも、そんなおかしい奴らの意見でもひとつだけ合ってるとこあったわ。確かに俺らは秩序を乱す異常者だ。それは正解だ。今は。今はな。でも未来の人間からしたら、そっちが異常者になってるかもな。いつかそんな未来が来るかもな。