1-4.前肢の動き
どの馬にも当てはまる基本的な前肢の動きを見ていきましょう。

背中の動き
背中は「前肢の振り出しのときに伸び(反対方向に曲がり)、引き戻しのときに曲がる」です。振り出し・引き戻しと、曲がる・伸びるのタイミングが後肢のときと逆になっています。
1.振り出し期の最初
背中は最も曲がっている状態です。
肢の振り出しと連動して伸び始めます。

2.振り出し期
背中が伸びていきます。

3.振り出し期の最後
振り出しが終わり、最も伸びている状態になります。

4.引き戻し期の最初
背中は最も伸びている状態です。
肢の引き戻しと連動して曲がり始めます。

5.引き戻し期
背中が曲がっていきます。

6.引き戻し期の最後
引き戻しが終わり、最も曲がっている状態になります。

(1に戻る)
後肢と同じで正確に言えば手前前肢と反手前前肢でタイミングは変わってくる。が、まあ細かいことはいいだろう。
後肢と同じで、背中の曲がりは背中がやわらかい馬ほど大きくなります(よく曲がりよく伸びます)。
背中のやわらかさは骨格のやわらかさに分類されます。

肩甲骨の動き
肩甲骨はちょっと特殊だな。
肩甲骨は関節ではなく筋肉や靭帯で体と繋がっています。そのため肩甲骨は、体の上をすべるように比較的自由な運動ができます。

後肢はよく見ると腰仙関節で体(背骨)と繋がっているな。関節で1点が固定されているからそこを中心に回転する事しかできない。

肩甲骨は固定されてないからいろんな動きができるんだね。
肩甲骨は体の上をすべるように動くことができます。と言っても基本の動きは回転です。肩甲骨の上部が前方にあるときは下部は後方に、上部が後方にあるときは下部は前方に、というようにして回転がつくられます。

1.振り出し期の最初
上部は最も前方に、下部は最も後方にある状態です。
肢の振り出しと連動して、上部は後方に、下部は前方に移動し始めます。

2.振り出し期
上部は後方に、下部は前方に移動していきます。

3.振り出し期の最後
振り出しが終わり、上部は最も後方に、下部は最も前方にある状態になります。

4.引き戻し期の最初
上部は最も後方に、下部は最も前方にある状態です。
肢の引き戻しと連動して、上部は前方に、下部は後方に移動し始めます。

5.引き戻し期
上部は前方に、下部は後方に移動していきます。

6.引き戻し期の最後
引き戻しが終わり、上部は最も前方に、下部は最も後方にある状態になります。

(1に戻る)
肩甲骨の角度の変化の大きさは筋肉のやわらかさに依存します。筋肉がやわらかいほど肩甲骨の角度の変化は大きくなります。
骨格のやわらかさじゃなくて筋肉のやわらかさなんだね。
関節がないから骨格のやわらかさになりようがないというのもあるな。

肩関節と肘関節の動き
肩関節は肘関節に合わせて動きます。下では肘関節の動きを中心に、肩関節の動きも説明しています。
1.振り出し期の最初
肘関節は最も伸びている状態です。
肢の振り出しに合わせて曲がり始めます。
(肩関節も曲がり始めます。)

2.振り出し期の中間
肘関節が最も曲がっている状態になります。
そして今度は伸び始めます。
(肩関節も曲がっている状態から伸び始めます。)

3.振り出し期の最後
振り出しが終わり、肘関節は再び最も伸びている状態になります。
(肩関節も伸びている状態です。)

4.引き戻し期の最初
肘関節は最も伸びている状態です。
(肩関節も伸びている状態です。)

5.スタンス期
肘関節は着地後に曲がり始め、スタンス期中期に(引き戻し期の中で)最も曲がった状態になります。
それを過ぎると今度は伸び始め、肢が地面を離れるときには最も伸びた状態になります。
(肩関節も曲がる→伸びる動きをします。)

6.引き戻し期の最後
肘関節は最も伸びている状態です。
(肩関節も伸びている状態ですが、肘関節ほど大きくは伸びていません。)

(1に戻る)
肘関節がどれだけ伸びるかは肘関節のやわらかさで決まります。
筋肉のやわらかさ以外は全部骨格のやわらかさと思っていい。
じゃあこれも骨格のやわらかさなんだね。

腕節の動き
…。
…おい、何も説明しない気か? いよいよだな。まあいいや、今後も出番はほとんどない関節だから簡単に俺が説明しておく。
振り出し期に伸びていたものが一度曲がってまた伸びる。そして引き戻し期はずっと伸びた状態となる。以上。

腕節は可動域の要素とかバネの要素とかではなく、上下の骨と一緒になって1本の骨になるみたいな感覚だ。

そういえばさっきコンビニ行ってくるって言ってたよ。

繋(球節~蹄)の動き
前肢も後肢も繋は同じです。スタンス期に球節が伸びることでバネとして働きます。
1.スタンス期の直前
球節は曲がっても伸びてもいないニュートラルの状態です。

2.スタンス期
球節は着地後に伸び始め、スタンス期中期に最も伸びた状態になります。
それを過ぎると今度は曲がり始め、肢が地面を離れるときにはニュートラルの状態になります。

繋全体としては伸びていたものが一度縮んでまた伸びる。まさにバネだな。


可動域の要素とバネの要素
前肢の場合、可動域の要素が背中、肩甲骨、肩関節と肘関節で、バネの要素が繋のみになります。
腕節は無視。
かわいそう。
可動域の要素は可動域(肢の角度の変化の大きさ)を決めます。
振り出しの角度は、背中の伸び+肩甲骨の振り出し+肩関節と肘関節の伸びです。

引き戻しの角度は、背中の曲がり+肩甲骨の引き戻し+肘関節の伸びですね。

バネの要素の繋は、やわらかいと長く接地できるようになります。

基本的には後肢と一緒だね。

バンデージを巻くと硬くなる
後肢のときに一つ言い忘れていたことがありました。バンデージ(バンテージ)についてなのですが、繋のやわらかさを見るときはバンデージを巻いているかどうかに注意します。

前肢でも後肢でも繋(球節)はバンデージを巻くと、巻いてないときより硬くなります。硬くなるということは接地が短くなるということです。
バンデージ?
球節とかにグルグル巻いて関節を固定するやつだ。結構な率で巻いてる馬がいるぞ。
あー、見たことあるかも。 ケンタはしないんだ?
バンデージの役目は球節の腱と靭帯を保護するとか、推進力を強くするとかなんだが、俺にはあまり関係ないことだからな。
研究所にいたときは巻かれたこともあったが、蒸れるのが嫌なんだよな。人間時代もトランクスだったし。
それは知らないけど。
カラフルなやつはすぐわかるが、地味な色のは気づきにくいから注意が必要だ。