ケンタと学ぶ 相馬眼の新理論

1-3.後肢の動き

筋肉の質がわかったところで、ここからは主に動き方の特徴を見ていくことになります。あの馬のフォームはかっこいいとか、この馬のフォームは効率がいいとかですね。

ただその前に、まずはどの馬にも当てはまる基本的な動き方を知っておかなくてはいけません。というわけで、まずは後肢の基本的な動きから見ていきましょう。

何で前肢じゃなくて後肢からやるの?

4本全部の肢が地面から離れた後は、後肢→前肢の順で着地するだろ。俺らからするとこの順番じゃないと感覚的に気持ち悪いんだ。(もちろん違う流派もいるが。)

ふーん。変なの。

背中の動き

背中って後肢じゃないよね。

背中は後肢じゃないが、肢の動きと連動してる。

馬の背中はチーターや猫などに比べて硬いと言われていますが、それでも少しは曲がります。

下で長々と説明していますが、その動きは単純で「後肢の振り出しのときに曲がり、引き戻しのときに伸びる(反対方向に曲がる)」です。

1.振り出し期の最初
背中は最も伸びている状態です。
肢の振り出しと連動して曲がり始めます。

2.振り出し期
背中が曲がっていきます。

3.振り出し期の最後
振り出しが終わり、最も曲がっている状態になります。

4.引き戻し期の最初
背中は最も曲がっている状態です。
肢の引き戻しと連動して伸び始めます。

5.引き戻し期
背中が伸びていきます。

6.引き戻し期の最後
引き戻しが終わり、最も伸びている状態になります。

(1に戻る)

正確に言えば、手前後肢と反手前後肢でタイミングは変わってくるが、まあ細かいことはいいだろう。

どれだけ曲がって伸びるかは馬によって違い、背中がやわらかい馬ほど大きくなります(よく曲がりよく伸びます)。

背中の筋肉がやわらかいほど曲がるってこと?

あーこれは背中の筋肉のやわらかさじゃなくて、背中の骨格のやわらかさだ。まあ背骨がどれだけ曲がるかってことだな。

あれか。やわらかさには筋肉のやわらかさと骨格のやわらかさがあるって言ってたやつ。

そうだな。背中のやわらかさは骨格のやわらかさに分類される。

腰仙関節の動き

腰仙関節も同じで「後肢の振り出しのときに曲がり、引き戻しのときに伸びる」です。

1.振り出し期の最初
最も伸びている状態です。
肢の振り出しと連動して曲がり始めます。

2.振り出し期
曲がっていきます。

3.振り出し期の最後
振り出しが終わり、最も曲がっている状態になります。

4.引き戻し期の最初
最も曲がっている状態です。
肢の引き戻しと連動して伸び始めます。

5.引き戻し期
伸びていきます。

6.引き戻し期の最後
引き戻しが終わり、最も伸びている状態になります。

(1に戻る)

腰仙関節がやわらかいほど角度の変化は大きくなります(よく曲がりよく伸びます)。腰仙関節のやわらかさは骨格のやわらかさに分類されます。

何も問題はないな。背中とほぼ同じだ。

股関節の動き

股関節も同じく「後肢の振り出しのときに曲がり、引き戻しのときに伸びる」です。

1.振り出し期の最初
最も伸びている状態です。
肢の振り出しと連動して曲がり始めます。

2.振り出し期
曲がっていきます。

3.振り出し期の最後
振り出しが終わり、最も曲がっている状態になります。

4.引き戻し期の最初
最も曲がっている状態です。
肢の引き戻しと連動して伸び始めます。

5.引き戻し期
伸びていきます。

6.引き戻し期の最後
引き戻しが終わり、最も伸びている状態になります。

(1に戻る)

股関節の角度の変化の大きさは筋肉のやわらかさで決まります。筋肉がやわらかいほど角度の変化は大きくなります(よく曲がりよく伸びます)。

筋肉のやわらかさで決まるということに注意すれば、背中、腰仙関節と同じだな。

膝関節と飛節の動き

流れからすると、ここで変化球かな。

おっ、するどいな。

膝関節と飛節は連動して動きます。膝関節が曲がれば飛節も曲がり、膝関節が伸びれば飛節も伸びる構造になっています。

そしてこれは背中、腰仙関節、股関節といった可動域の要素ではなく、バネの要素になります。何の説明もなく変な単語を使ってしまいましたが、可動域の要素とバネの要素についてはこのページの最後に解説します。

1.振り出し期の最初
最も伸びている状態です。
肢の振り出しに合わせて曲がり始めます。

2.振り出し期の中間
最も曲がっている状態になります。
そして今度は伸び始めます。

3.振り出し期の最後
振り出しが終わり、再び最も伸びている状態になります。

4.引き戻し期の最初
最も伸びている状態です。

5.スタンス期
着地後に曲がり始め、スタンス期中期に(引き戻し期の中で)最も曲がった状態になります。
それを過ぎると今度は伸び始め、肢が地面を離れるときには最も伸びた状態になります。

6.引き戻し期の最後
最も伸びている状態です。

(1に戻る)

注目はスタンス期だな。伸びていたものが縮んでまた伸びる。

バネっていうことか。

あれ? 角度の変化が~とか、やわらかさが~みたいな説明はないの?

その辺は、このページの最後に説明します。今までの可動域の要素とは少し違ってきますので。

繋(球節~蹄)の動き

繋もバネの要素で、スタンス期に球節が伸びることでバネとして働きます。スタンス期の球節の動きを見れば十分でしょう。

球節の曲がる方向、伸びる方向

1.スタンス期の直前
球節は曲がっても伸びてもいないニュートラルの状態です。

2.スタンス期
球節は着地後に伸び始め、スタンス期中期に最も伸びた状態になります。
それを過ぎると今度は曲がり始め、肢が地面を離れるときにはニュートラルの状態になります。

繋全体としては伸びていたものが一度縮んでまた伸びる。まさにバネだな。

可動域の要素とバネの要素

ここまで見てきた背中、腰仙関節、股関節、膝関節と飛節、繋は、可動域の要素とバネの要素に分けられます。

背中、腰仙関節、股関節が可動域の要素。膝関節と飛節、繋がバネの要素。でしょ。

そうだな。股関節から上が可動域の要素で、膝関節から下がバネの要素になる。

でも何が違うのかはよくわからないけど。

まず背中、腰仙関節、股関節の可動域の要素ですが。その名の通り、この3つの要素の合計で後肢の可動域(後肢の角度の変化の大きさ)が決まります。

振り出しの角度は、背中の曲がり+腰仙関節の曲がり+股関節の曲がりです。

引き戻しの角度は、背中の伸び+腰仙関節の伸び+股関節の伸びですね。

バネの要素がいくら伸びても、この角度は変わらない。

バネの要素は可動域とは関係ないってことか。

続いて膝関節と飛節、繋のバネの要素ですが、バネの要素はやわらかいと長く接地できるようになります。

バネの要素は伸びていたものが縮んでまた伸びる、という動きでした。やわらかくてこの伸び縮みが大きいほど長く接地できるというわけです。

うーん。

疑問があっても今はそんな真剣に考えなくていいぞ。可動域の要素とバネの要素のイメージができていればいい。