超マクロのバイオメカニクスで解き明かす。JRA競走馬総合研究所が行ったディープインパクトの分析に異議を唱える

超マクロのバイオメカニクスとは
バイオメカニクスの中にもミクロ、マクロとありますが、そこに新しく超マクロを加えてもいいんじゃないかと、そして超マクロこそがパフォーマンスを分析するとか改善することにおいては最も実用的ではないかと思っています。
筋肉の動きを考えたときに、ミクロなら筋肉の構造とか仕組みとかを扱い、マクロなら筋肉がどういう振る舞い(力・長さ・速さの関係など)をするかを扱います。で、超マクロはなんなのかと言いますと、その筋肉である結果、速く走れるのか走れないのか(どういうパフォーマンスをするのか)のみに注目するみたいなイメージです。
マクロでは関節の角度とか関節に働く力をよく見るんですけど、超マクロはそこは見なくてよくて、そうなる原因とその結果速く走れるか走れないかのみが重要だと考える派閥です。
私がこのサイトで紹介している相馬眼の理論の大半は超マクロに分類されます。

ウサイン・ボルトの肩の揺れを超マクロから見る
超マクロについての具体例を出しますね。
ウサイン・ボルトは肩を大きく揺らして走ります。
マクロで見ると、肩の角度は~だ、肩の角度が~になるのはこういう力が働いているからだ、となります。そしてそれを深刻に受け止め、この角度の変化によって何が起きるのかを分析します。でもこのアプローチだと肩の角度を中心に考えちゃうんで遠回りなんですよね。
超マクロで見たら、背骨がやわらかくて、胴も比較的短くて、左右非対称で走る二軸走法(→ボルト、ジョンソン、バンニーキルク、テボゴ等が左右非対称で走る理由 )ならそら揺れるよな、で終わりです。
超マクロではウサイン・ボルトが肩を揺らすことは軽く流します。対して、背中がやわらかいと速く走れるのか走れないのか、胴が短いと速く走れるのか走れないのか、左右非対称だと速く走れるのか走れないのか、ということに注視します。
さらにマクロでは、ウサイン・ボルトでない人でも肩を揺らすことを強制させて走ればどうなるのか、ウサイン・ボルトのように速く走れるのではないかという無駄なことを考えてしまう可能性があります。背中が硬くて、胴が長くて一軸走法で肩を揺らさない方がいい人に、肩を揺らして走れなんて言うのは愚です。

JRA総研がやったディープインパクトの分析は評価できない
あとはピッチとストライドの分析もマクロでは結構やるんですけど、超マクロはそこも無視します。
以前JRA競走馬総合研究所がディープインパクトの走りを分析してました。(https://www.b-t-c.or.jp/img/pdf/btcn/btcn66/btcn066-02.pdf)ここでは、ピッチとストライド、肢の振り出しと引き戻しの角度などに焦点を当てています。正にマクロです。
このデータはすばらしいです。しかし考察部分は申し訳ないんですけど私は評価できません。なぜピッチとストライドや肢の角度がそうなるかの原因を、超マクロ視点で考えなくては本質を捉えられないし、再現性もなく、実用性もあまりないと思います。
まだ着順がディープインパクトと似た走りをした順に決まっていたのならわからなくもないですが、恐らくそうではないでしょうし。ならば別の考察、走りの速さを決める本質となる要因への考察が必要ではないかと思ってしまいますね。
ディープインパクトは手前後肢と反手前前肢が作る歩幅(ミッドステップ幅)が大きいと書かれていますが、これはディープが後肢により負重して後肢で推進力を稼ぐ後負重の馬であることで説明できます。
後負重かどうかは絶対的な強さよりも適性に影響するものであり、後負重であるほど速く走れるとかではありません。ディープの個性です。
また、ディープインパクトは手前前肢を傾けて着地・離地していると書かれていますが、これはディープの肘関節と繋がやわらかいこと、前肢と後肢の1周にかかる時間が同じにするために、前肢をムチのようにしならせていることで説明できます。
これも絶対的な強さよりも適性に影響するもので、ディープの個性と考えています。
JRA競走馬総合研究所の「ディープが菊花賞で見せた走りは、バイオメカニクスの視点からみても実に効率的だ。」というまとめ方には、私は賛同できません。

超マクロの弱点
超マクロでは、そこで起きている全ての現象は説明できません。
ホチキスってやわらかい金属の芯とあの機械を見れば、大体何がどうなってどうなるかがわかるじゃないですか。で、そこで止まってしまうのが超マクロな気がします。
ホチキスの芯に加わる力とか、金属に力が加わったときの振る舞いとかはマクロじゃないとわからないですし、なんで金属がそういうふるまいをするのかはミクロじゃないと、原子レベルじゃないとわからないみたいな例えでどうでしょうか。
まあみんな大事だよね。みんないいよね。みんな違ってね。

まとめ?
私がミクロもマクロもできない超マクロ寄りの人間なんで、例に出すものが超マクロが有利なものに偏るんですけど、ミクロもマクロも超マクロもみんな大事です。
ただ使いどころだよねって話で、馬の強さと適性を実用的に見ることにおいては、超マクロがいいって話です。